(平成11年9月28日)

「呪縛の正体」 を汚れ役の 石神氏が吐露



 東映映画で 「金融腐食列島・呪縛」 がヒット中であるが、'97年に起こった一連の利益供与事件の第一勧業銀行がモデルになっているのは説明するまでもないことであるが、マスコミ、メディアによって 「総会屋」 と 「呪縛」 の文字はこの年に泣く子も黙る恐怖の流行語となり 経済界を震撼させ、以後今日までますます巨大化して来ている。

「呪縛」 について 味の素事件の石神氏が 月刊誌「財界人」 で書いている記事が参考になると思い、以下に 「財界人」(P34〜P39) の記事を抜粋する。



(前 略)


 摘発を受けたある銀行関係者は 「呪縛」 という言葉を使った。
私は 「呪縛」 というものは、警察による発表とそれをそのまま発表し脚色するマスコミによって形成されているものとしか思えない。

例えば、警察発表によると、本年になり総会屋が約 600人にまで減少したものの、今なお活発に活動中としている。 しかも、「総会屋」 というものの定義付けは全くなく、人数のみを公表するという矛盾した数字だ。

私自身、総務という仕事をすればするほど、「総会屋」 を説明できなくなった。

一般的に世間で言われる 「総会屋」 であるとしたら、どう多めに数えても、50人もいない。 情報誌等に株主総会の状況等が掲載されるが、それによっても 50人程度である。
さらに活発に行動しているとなると7、8人であろう。

仮に 600人としても、6月の総会一斉開催日、新聞発表されたように警察官動員 4500人となると、警察官一人当たり7、8人ということになる。 私の言うところの 50人くらいとしたら、屈強な警察官が 100人近くで一人の総会屋を警戒することになる。

俗に言うところの暴力団という拳銃まで所持する可能性がきわめて高いと思われている人たちにでさえ、ここまでの人数は動員しない。 しかも、総会屋が暴れて検挙されたという話は今までにない。

となると、この警察官動員は、これほどにしなければならないほど総会屋は恐ろしいものでよ、というポーズなのかとさえ思ってしまう。 そして、その光景を報道するマスコミがあり、「呪縛」 となる。

そもそも商法上、株主総会議場の権限は議長にあり、過去議場内から警察に何らかの要請があったことはない。 おそらく警察側の見解は、企業からの臨場要請に基づいてということだろうが、これは半ば強制的に出させられたものなのである。

総会に出席しようとした一般株主が、警察官の数に驚き帰ってしまうことすらある。
現に味の素でも、出席後のお土産欲しさに来る味の素ファンの株主の中には、何事が起こるのかと入り口まで来て帰られた株主が何人もいた。


(中 略)



 株主総会、及び企業を取り巻く環境は、現在一つの過渡期を迎えている。 さらに今後、企業の景気が完全な復活をしてきた場合、どうなるのであろうか。

ここ最近、株主オンブズマンとか市民団体を名乗る総会出席者、電力会社の原発グループ、さらにはわざわざ仲間同士で総会運営のビデオを制作し企業に高値で売っている弁護士、株主代表訴訟がために株付けをするグループ、株主代表訴訟の実態そのものなど、一般社会はおろか企業にすら知られていないものごとが増えてきている。

さらに、経済情報誌なり経済誌と称して企業から広告料、記事買取代、堤灯記事による記事広告料をせしめるグループもいる。 福祉、環境問題を材料に寄付金を集めるというものもある。

こうした人々までを総会屋とするなら 600人になるのかもしれないが、警察当局でさえほとんど実態を掴んでいない。 私の総務部の担当者としての情報力を信じてもらえるなら、こういったグループこそ企業を食い物にする反社会的団体である。

ある弁護士が制作した疑似株主総会のビデオテープを、ご覧になったことがあるだろうか。 一部はニュースで報道されたが、総会屋役に扮した弁護士が質問している場面がある。 はっきり言って、あんな乱暴な言葉を使ったり、あんなに人相の悪い総会屋を私は見たことがない。

それはともかくとしても、株主総会が議長の議事運営次第で乗り切れると本当に思っているのであろうか。 まして、そのテープを企業に買わせているのでは問題外である。 それとも、株主代表訴訟が起きてさらなる仕事が増えるなどという目的でもあるのであろうか。

あえて言うが、最近の経済誌、情報誌には 「警察総会屋」 なる言葉まで表れた。 おそらく企業への警察 OBの大量再就職問題があるのであろうが、こうした問題にも企業は取り組まなくてはならない。


(後 略)