(平成11年1月30日)

オリンピック物語

adidas の成功と ISL、電通のつながり
世界のスポーツ・マフィアに喰いものにされる日本



 今回のソルトレイクシティ冬期オリンピック大会招致に対してTV、新聞で報道され、又、長野冬期オリンピックにも招致を巡る疑惑問題がおこっています。

 IOC 現会長のサマランチは用心深い人物で直接 “金” を受け取る人物ではありません。
 “金” とはもちろん賄賂である事は世界のスポーツ・マネジメントに関わる人々は知っています。

 オリンピックが “金” になる…… これは1984年ロスアンゼルス大会が始まりと言われています。それ迄は開催国の公の金を使いオリンピックが開催されて来ました。
 ロス大会の前迄はオリンピックは金がかかり過ぎと言う事で、どこの国も手を上げない状態もありました。

 しかし、1984年のロスアンゼルス大会では、小さな旅行会社の経営者から成り上ったペーター・ユベロス氏が “斬新” なアイデアを提案しました。
 過去に於てクーベルタンの唱えるオリンピックアマチュア主義、非商業主義が “崩壊” したのです。

 ロスアンゼルス大会では初めてオリンピックに企業からのスポンサーを参加させ、1992年のバルセロナ大会のアメリカのバスケット競技では、プロバスケット選手の “ドリーム・チーム” が参加し、金メダルを獲得しました。

 これは大当りでワールドワイドの一流企業は競って協賛金を払いました。

 オリンピックのテレビの視聴率は抜群であった。コカコーラ等の主なスポンサーはオリンピックと言うスーパースポーツイベントを利用し世界中での販売の促進へ知名度アップに成功し、それ故 1996年のアトランタオリンピックはコカコーラオリンピックとマスコミに報道されました。

 ペーター・ユベロス氏は “ロス暴動” の折にも英雄として名をはせました。
 彼はアメリカ合衆国の税金を使う事なくロス大会を成功させました。

 それはユベロスが、TVの放映権をつり上げ、コカコーラ他9社、つまり “トップ10” のスポンサーを獲得したからです。

 見事にロスアンゼルス大会はオリンピック史上初めての黒字になり、オリンピック委員会の職員にもボーナスが支払われた事は報道でもご存知のとおりです。

 この大会から TV放映権が莫大なものとなる。

 ロス大会以後は TV、新聞を通して選手が着用するスポーツメーカーのランニングシャツ、シューズ等が全世界の視聴者に強烈なイメージを与え、商品の販売促進に大きな効果を上げました。

 この戦略を用いていたのが “adidas” です。

 アディダスの経営方針はオリンピックに出場し、表彰台、それも金メダルの選手に “adidas” のロゴマークを付けさせる事です。
 それによって世界中に “adidas” の名前を浸透させ、スポーツの adidas の名を不動のものにしました。


アディダス社

オリンピックの一流のアスリストに 自社のシューズ、ウエアーを提供

TV、新聞での報道

全世界のアマチュアスポーツ選手、一般人のブランド意識アップ


 すなわちアディダスはトップから一般迄のピラミッド型 販売戦略としていたのです。

 その点 “Reebock”社はアディダスとは正反対に一般のスポーツ好きの人々にジョギング、エクササイズ等でブランド名をアップさせて来ました。
 つまり一般大衆から→トップアスリストという逆ピラミッド戦略です。

 言うまでもなく、adidas は他のスポーツメーカーより一歩も二歩もオリンピックビジネスで先行していました。

 adidas 創立者アディ・ダスラーの息子ホルスト・ダスラーは 1988年のソウルオリンピック開催直前に亡くなりました。
 ホルスト・ダスラーは自分の5人の娘に ISL というスポーツの利権会社を作り、全員に株を与えました。

 ISL は IOC と長期の契約をし、最終的には全てのスポンサーが ISL を通じなければ参加出来ない様にしたのです。

 前記ユベロス氏は日本の企業も必要と思い、日本での代理店を広告業界最大手の電通に指名しました。

 その結果 “フジフィルム” 等の日本のスポンサーが誕生したのです。
 その後、日本でのオリンピックビジネスでの独占を計る為、JOC(日本オリンピック委員会:現古橋広之進会長・堤義明名誉会長) 内に “ガンバレ日本” のコピーで有名になった組織を作ったのです。

 さらに電通は、オリンピックだけではなく、サッカーワールドカップ,世界陸上の利権をもつ ISL の全株式の 49%を手に入れたのです。
 この組織はやはり電通内に “電通ISL” を設置し、日本に於けるスーパービッグスポーツイベントの独占に成功しました。

 もちろん “海外に弱い” 電通が外国のスポンサーを獲得出来るはずもありません。 しかし、ISL の全株式 49%を保有していた電通は 最近保有していた株を 10%にダウンしました。

 この点が重要でかつ不思議な事です。

 電通がなぜ ISL というスポーツマネージメントカンパニー保有株を 10%にしたのか?……
 ISL は電通以外の広告代理店とも手を結びたがっているのか?
 又は ISLが日本の企業と直接の契約をしたがっているのか?
大変興味のある話しです。

 以上の様に adidas社と ISL・ペーターユベロス氏は大変強いラインで継がっています。
 数年前迄はペーターユベロス氏は adidas社のスーパーバイザーとして名を連ねていました。

 ユベロスのおかげでオリンピックが “金” になる事をおぼえたサマランチ IOC会長は今迄のオリンピックでの名誉 (それ以前にも金にはしたと思われるが…) から金を欲する様になったのです。

 サマランチの最大の目的は 「ノーベル平和賞」 を受ける事だったのです。

 最近、TV、新聞に大きく報道されているスイス・ローザンヌのマネジメント会社 STUDIO6(スタジオ6) は社長の G・タカチが経営者です。
 しかもその父親は、あのサマランチ IOC会長のスーパーバイザーとして有名です。

 サマランチは非常に慎重な人物で 今迄 “金” に関して詳しい報道がなく単なる “うわさ” でした。

 しかし今回のスタジオ6との関りから新しい事実が浮んでくる事でしょう。
 IOC本部、ISL社、スタジオ6、FIFA(世界サッカー協会)本部、これらビッグスポーツに関連する組織が全てスイス国内に有ります。

 さらに IOC は欧州モナコ王国に事務所を置き、モナコの有利な税制を利用しています。

 オリンピックのスポンサーがモナコで会議をする事もあります。
 モナコこそ “マネーロンダリング” の舞台と思っています。

 慎重なサマランチが直接金を受け取るはずもなく、本当に信用出来るブレーンが、いろいろな方法で私腹を肥やしていると思われる。 又 IOCの会長の座を手放すまいと必死である。

 サマランチ会長は世界の長者番付のトップになった西武の堤義明氏に強い興味をおぼえ、スポーツコネクションの大物を通じ接触する事になる。

 サマランチと同様、堤義明氏の名誉に対する欲はすさまじいものがあります。
 1998年の長野オリンピックの開催地を長野に決定する為には、方法をいとわない考えでした。

 堤義明氏は名誉もさる事ながら、オリンピックを長野で開催させ、自分の持つ土地の開発に成功しました。

 そこでサマランチは何が何でも長野開催に異様な執念を燃やす堤氏に IOCが授与するスポーツ金賞を与える事にしたのです。

 この金賞のゴールドメダルは日本人では堤氏が初めてです。

 サマランチが望んだものには未だ他にもあります。

 今 TV、新聞で報道されているスイスのオリンピック博物館建設の費用を日本の企業と堤氏に求めたのです。

 日本の企業が建設費用の半分以上の約23億円の巨額を提供した博物館のメモリアルボードには、日本企業がスポンサーとして多数名を連ねている。

 日本の窓口は当然電通であった事ですが、日本の企業は欧米人にいいようにあしらわれているとしか思われません。

 一説によると、堤氏は個人で1億円を寄付した以外に長野オリンピック招致の為に 2,000万ドル以上を提供したとの事です。

 スポーツマフィアの鉄則は、通訳を入れずに当人同士で話をして決定するのが常識となっています。

 堤氏は英語ができないので、どんな話もすべて通訳を入れますので人間関係がなかなかできません。堤氏は日本では通用しても海外では全く無名で相手にされませんでした。
 サマランチやそのブレーンから見れば日本の大金持ちというのがただ一つの魅力であったのです。

 IOC の授与するスポーツ金賞を受けたことで、今迄外国で無名だった堤氏が世界のスポーツ界の名士になったのです。

 その後、サマランチと堤義明は強い信頼関係を結ぶ事となります。

 チャートで示しますと



 新聞でも報道された様に、長野オリンピック招致委員会にスイスのスタジオ6を紹介したのは 猪谷千春 という事が判明しています。 又、本人もこれを認めています。

 しかし、長野オリンピック招致委員会がスタジオ6とコンサルタント契約することは 猪谷千春氏の独断で出来た事なのでしょうか。

 これはもちろん、日本スキー協会会長としての堤義明氏が関係したに違いありません。

 要するに長野オリンピック招致委員会には世界のスポーツビジネスに精通する人物は一人も居なかったのです。

 長野オリンピックは、IOCとスタジオ6及び堤にいい様に金を出させられたのです。
 支払った金に対しては報道の金額とは全く違います。

 多額の寄付金を支払った堤氏は長野開催で当然「元」を取りました。

(開発事業等で)オリンピック博物館に寄付した多くの日本企業と長野オリンピック招致委員会はいい “面の皮” です。

 もちろんオリンピック博物館には堤氏個人の名前が入ったプレートもあります。

 とにもかくにも名古屋オリンピック招致に失敗 (1988年ソウルで開催) した日本は、世界のスポーツ・コネクション・マフィアに喰いものにされていくのです。

 これを阻止するには今後は日本だけでなく、世界中からその人物の顔を見ればすぐ判る様な人を、JOC会長職に置き(残念ながら古橋氏では知名度が低い)、将来的には柔道の山下の様な人物が理想です。

 又、世界のスポーツ・コネクションとも互角対等に話せるスポーツマネジメントが出来る人材を育成する事が重要です。

 2002年サッカーワールドカップ日韓共催。
 これも FIFA と日本企業、スポーツマフィア、ISLの “TOO HOT” な関係は読者は理解出来る事でしょう。

 2002年サッカーワールドカップ開催地決定の前の、招致に対する巨額な金の流れ、これは決定時に終了するのではなく大会直前迄 金の為にスポーツ・コネクションが暗躍するのです。



追記