(平成9年12月3日)

問題の「武富士」武井 会長への告発状

全文公開


 当会に寄せられた武富士に関する告発状や、それに関わる書面は一部マスコミ等に出回っており、また情報誌等によって問題視されております。
 特に平成7年月刊「現代」で伊東 博敏氏が「委任の終了」に関し糾弾しております。しかし本件告発文や関係書類の全文は公表されておりません。
 そこで、当ホームページはその全文を掲載することによって、あえて論評は避け、皆様のご判断に委ねさせていただくことにしました。ご参考になれば幸甚です。


(株)武富士 武井 保雄 会長への告発文

弁護士 新明 一郎 氏の委任業務内容と成果について

弁護士 新明 一郎 氏の成功報酬の件について

グレートブレーン(株)社長 石高 嘉昭 氏の請求書

税理士 劔持 昭司 氏の報告確認書

税理士 劔持 昭司 氏の手数料報酬請求に関する委任の件




告 発 状

告発人                               
  (甲)住所 千葉県松戸市松戸2192番地メゾンブランシュ301号 
        元株式会社武富士渉外部部長             
               藤川 忠政 (44歳)         
  (乙)住所 埼玉県狭山市入間川1−17−5            
        元株式会社武富士総務部総務課長           
               岩根 昭二 (43歳)         

被告発人                              
     東京都新宿区西新宿8−15−1              
        株式会社 武富士                  
           代表取締役会長  武井 保雄         

第一、告発人の背景

 告発人(甲)藤川忠政は、株式会社武富士(以下武富士という)の元渉外部長であり、昭和50年3月国士館大学を卒業し、同年4月、武富士に入社、昭和56年大阪支社長を経て、昭和63年開発プロジェクト部課長として都留市のゴルフ場の地上げや、武富士及び関連会社における京都の地上げ等を担当し、平成4年11月、事業開発部部長兼渉外部部長を兼務し、平成6年11月武井保雄会長より「藤川には今まで事業開発部部長と渉外部部長を兼務してもらったが、平成8年に武富士の店頭公開を考えているので、これからは表で処理できない色々の問題を藤川にやってもらいたいと思っているが、警察は事件にならないと企業を助けてくれないし、他の企業でも皆やっていることで、肩書きは皆課長とか次長であるが、この仕事はオーナー直属で信頼関係がないとできない。
 藤川は既に部長なのでこれ以上の役職はやれないが、もし何かあっても藤川の一生の面倒は俺がみる。」との約束のもと、武富士の店頭公開に関する各種の事案を担当することになりました。

 特に、最大の問題であった武富士と関連会社の債権債務を「委任の終了」という手法(保証の整理)で処理した為に脱税の疑惑をもたれましたが、経理部では対応できず、武井会長の指示のもと私が陣頭指揮をとり、野村証券のヒアリング対応や国税局特別調査室への対策を万全に期した結果、武富士は平成8年8月30日店頭公開を果たしたのですが、私は数々の貢献にも拘わらず、武井会長の判断ミスにより、公開と引換に武富士23年間の歴史を無理やりに退職という形で終止符を打たれました。

 告発人(乙)岩根昭二は、株式会社武富士(以下武富士という)の元総務部総務課長であり、平成4年3月末に約20年余に亘り勤務した警視庁警察官を円満退職した後、平成6年1月末に元警視総監であった武富士の非常勤顧問の福田勝一氏から、武富士が店頭公開を控え警察OBを求めているとの強い勧誘を受け、同年1月26日付にて、同社総務課長の役職で採用され、平成8年9月10日に辞職するまでの約3年近く警視庁刑事部捜査第二課警視庁警部補の経歴を有することから同社代表取締役会長武井保雄氏の直属指揮下で、武井会長の身辺警護、真正館と称する武井会長の自宅兼社員研修館における家族等の警護、武井会長の別宅の警戒警護、不正社員の事実調査、中途採用社員の雇用調査、武井会長特命の調査等、そして元渉外部部長であった告発人(甲)藤川忠政氏と共に、各種渉外事案の処理等に主として従事してきたのでした。

第二、告発の主旨

 告発人(甲)藤川忠政は、武富士の株式店頭公開に際し、被告発人会社会長武井保雄氏の特命を受け、店頭公開の最大の難関であった関連会社との保証の整理を「委任の終了」という手法を用いて、節税という名のもと脱税に協力してきたことについて、マスコミ各社の取材や、警視庁捜査二課(藤原警部、石井警部補)や捜査四課(松田警部補、熊谷巡査部長)から数回の事情聴取を受けておりますが、武富士はこれらの動きを察知し、政治家や警察官僚を使って圧力をかけ、マスコミ等も全て金の力で押さえ、武井会長は「私は何も悪いことはしていない。」と豪語しております。

 もし、このような手法が認められるならば、世間を騒がした住専の問題も、親会社に金さえあれば税金を使わなくても処理できるとしたなら、土地重課税で苦しんでいる一般の善良な人々に対しても申し訳なく思うと共に、金が全ての日本国になってしまうことを憂慮し、如何に元武富士社員であり、武井会長の指示とは言え、委任の終了という手法を用いて、節税という大義名分のもと武井会長の創業者利益を確保するために、脱税行為に加担したことは私自身をも含め、武富士並びに武井会長の行為は許し難く当局に告発する次第であります。
 告発人(乙)岩根昭二は、武富士に入社して以来、告発人(甲)藤川忠政と共に行動しており、直接には担当していないが、本件告発の事実について知り得る立場の者であります。

第三、告発の事実

 1.委任の終了(保証の整理)に関与した人物

 武富士は平成5年初旬、同業他社の店頭公開から遅れを取ることを危惧し、同社の店頭公開に関する最大の問題であった武富士と関連会社の不透明な取引(保証の整理)について、野村証券から指導を受けると同時に、対外的な印象を良くする為に元銀行局長であり、当時、野村総研最高顧問徳田博美氏を外部監査役で招き、報酬の代わりに徳田氏の交歳費(1ケ月約1千万円)を武富士で肩代りし、徳田氏の愛人である銀座のサロン・ド・ボナ(土屋社長)から絵画を購入したり、娘婿(現大蔵省宮内氏)のマンションを当時の評価額の倍以上の価格で買い上げたり、武富士の未公開株を平成6年3月第三者割当の時期に、宮内氏名義で譲渡されておりますので事実関係をお調べ下さい。

 武井会長は、店頭公開する為には、最低条件である武富士と関連会社との保証の整理をする為には、関連会社の保有する土地を武富士に売却するしか方法はないと考え、平成5年初め頃、当時武富士の取締役経理部長平井弘に指示し、武富士の関連会社である「徳武」「共栄」「リブランド」等が京都で所有していた不動産の国土法価格を調べたところ、簿価で約745億円の土地が実際には600億円にも満たないことが判明し、金利(8.5%)を入れると武富士に売却しても関連会社に膨大な赤字が残るため苦慮しておりました。  同年3月頃、新明弁護士は、京都崇仁協議会元幹部石高嘉明が武井会長に京都の藤井の件で迷惑をかけたお詫びの印に、京都の事件で勝訴出来る貴重な情報を提供したいとのことで、武井会長に接近して来ておりました。

 平成6年12月、武富士と新明・石高の間で報酬問題がトラブルに発展した際、新明弁護士、劔持税理士の委任を取り付けた石高が、大阪の右翼団体「大化会」に対し、新明弁護士の作成した請求書(脱税の手口)を渡し、街宣行動を仕掛けて来ました。この時、武井会長は処理に困り、福田元総監に相談したところ、元総監は「もし、この問題が公になれば、武富士の公開は難しい。円満解決には水面下での処理しかない。」と言われ、同総監の指示で同年12月26日、金3億円を武富士顧問弁護士寺崎事務所にて支払い、同月末武富士は福田元総監に謝礼として金500万円を支払いました。

マスコミ関係

 平成7年7月、月刊『現代』にジャーナリストの伊藤博敏氏が、委任の終了に関する記事を記載致しました。この時も、弁護士の請求書を伊藤氏が入手し、各方面に取材していることを武井会長が察知し、私は会長の指示で故堀川健三氏を介して金300万円を渡し、接待攻勢をかけ、記事差し止めの依頼をしたが、将来、武富士の顧問として招くことを条件にペンを曲げて頂きました。

 2.株式の店頭公開
 武富士の委任の終了に関しては、上記のような事情があり、この事実は野村証券も十分承知の上で、武富士の幹事証券会社として日本証券業界に対し、その株式につき登録銘柄登録申請をなし、同申請は承認され、平成8年8月30日に株式を公開した。

 登録申請の際には、武富士の社内体制の整備が審査され、その審査の重点項目の一つに、関連会社との関係、特にその債権債務の関係が問題になった。

 武富士第26期決算書(平成5年11月30日)及び第27期決算書(平成7年3月31日)では、関係会社等の借入債務に対する武富士の保証債務として、金3,100億円余が計上されていたが、武富士の第28期決算書では上記保証債務は、金330億円足らずに減少しております。

  1. 平成7年3月、武富士の株主総会において、株式の店頭公開を決定してから、社内に公開プロジェクトが発足し、野村証券のヒアリングが行なわれましたが、最大の難関は委任の終了に関して野村証券の弁護士が問題ありとして最後まで揉めました。日本証券業協会に提出する書類の期限が迫り、野村証券からも私に対して強い要望があり、後ほど説明する国税局の調査結果や新明弁護士を再度利用して、当時関係していなかった中央監査法人の佐竹先生や顧問弁護士の寺崎先生を説得して、野村証券の弁護士に対し、委任の終了は違法でも脱税でもない旨の報告書を提出し何とか疑惑をクリアー致しました。

  2. 野村証券のヒアリングの最中の平成8年1月に、国税局特別調査室の藤原室長以下5名の調査官が武富士に来て、月刊『現代』の記事に関して調査を致しましたが、担当の平井部長の説明では納得せず、私は武井会長より直接電話をいただき、「平井君の説明では駄目だから藤川が国税に説明してくれ、お前一人に苦労をかけて悪いな・」と言われ、その日から約2ケ月間野村と国税の対応を行ないました。

     私は、藤原特別調査官より「我々は昨年7月の月刊『現代』の記事について上の方からの指示で来ているので協力して欲しい。」と言われ、私は、京都の地上げの顛末と新明弁護士の請求書は、同和の人や右翼に脅されて無理やりに書かされたことや、伊藤氏は記事は書くが問題は無いと言っていた等の説明を終始一貫して行ない、藤原特別調査官より相応の理解を頂き、更には「藤川部長の報告書を出して欲しい。それを参考にして私も上に報告書を提出します。恐らく私の報告書は委任の終了は脱税ではなく、節税であったということになると思います。但し、この件が再燃した場合には問題になります。要するにグレーいうことですから注意して下さい。」と、念押しされました。
     その事実を野村証券の公開引受部の井上次長や早川課長等は知っておりながら、あたかも委任の終了は国税の調査でお墨付をもらったの如く報告書を野村証券に対しても私が提出し、野村証券の顧問弁護士の疑念を押え込みました。

 3.関連会社の不動産取得(地上げ)

 武富士の関連会社は、武井会長の近親者がその株式の100%を保有しており、株式会社徳武、株式会社共栄及び株式会社リブランド等があります。
 これらの三社は、昭和61年から昭和63年に下記の通り不動産は取得しておりますが、武井会長は常々、我々に対し「武富士はまだ皆若いが、将来の高齢化対策の一環として関連会社の充実を図り、年をとっても関連会社で安心して働ける環境を作る。」と言って、私達に地上げの進捗を要請しておりましたので、捜査二課からも確認されましたが、武富士と関連会社との間には委任契約は一切存在しません。

 1. 徳武及び共栄 (第一物件)
  物件 京都市下京区寺町通四条下る貞安前之町他、合計31筆
  代金 約金365億円

 2. 徳武 (第二物件)
  物件 京都市下京区七条通間之町東入材木町503番地他、47筆
  代金 約320億円

 3. リブランド (第三物件)
  物件 京都市左京区北白川南ケ原町他、合計43筆
  代金 金60億円

 合計 約金745億円

 上記記載の物件の他、新明、劔持、石高は、東京都麹町4丁目の土地は国土法で所有権を移転し、都留市のゴルフ場は会社売買で整理致しました。
 新明弁護士等は、第一物件から第三物件の評価を上げるために、アメリカでよく用いられる「利益還元方式」という形をとり、架空の建物を建設し将来の利益を先取りして計算したり、委任ならば本来は地上げ報酬は存在しないはずのところを、年間5%〜10% の利益を上乗せして関連会社に支払い、武富士に大きな損害を与えました。

 特に第三物件は、京都市の景観条例や第一種風致地区として指定され、例えば特別養護老人ホームの建設以外は開発許可は不可能であり、しかも、許可は平成4年に取消しされており、平成5年11月、委任の終了で90億円で所有権移転していることや、第二物件は平成3年1月、「真正なる登記名義人の回復」という手法でサンセイハウスから徳武に所有権を移転しており、委任の終了で同じ手法を二度も使っているこの重大なミスを国税が見過ごしたのて゛あれば怠慢としか言えません。

 そこで武井会長は、新明弁護士と石高の話を聞くことになり、彼等が京都の土地の有効利用を提案しているところに目を付け、彼等を利用することを思いついたのですが、京都の藤井や石高には一度裏切られていたので、仕事を依頼する上においては重しが必要と考え、仕事を依頼する際には武井会長の意向により、平成5年5月頃元警視総監 福田勝一氏、元渉外部長兼事業開発部長 藤川忠政、弁護士 新明一郎、グレートブレーン社社長 石高嘉明の同席のもと、武井会長自ら新明と石高の両名に「武富士は平成8年に店頭公開を考えているので、今の段階ではこの土地を有効利用する気はない。それよりもこの土地を国土法を通さないで所有権移転の方法を研究して欲しい。」と脱税の依頼を致しました。

 この事実を私が鮮明に記憶しております理由は、当日の夜、武井会長と私が福田元総監、新明弁護士、石高社長等を、国会タイムスの五味武氏の妻が経営する銀座の鮨屋と安達洋子氏が経営する銀座の「モンシャトー」へ接待するために同行致しましたので間違いありません。

 その後、武富士の担当は私から平井に変わりましたが、報酬の問題で武富士と新明、石高の間にトラブルが発生し、平成6年9月頃「委任の終了」に関与した人物を全て知ることになりました。

1. 武富士関係者
会長・武井保雄、取締役経理部長・平井弘、事後処理担当・藤川忠政、当時の武富士側の顧問税理士、会計士は全員この方法に反対し一切関与しなかった。

2. 脱税請負側
弁護士・新明一郎、劔持税理士、不動産屋石高嘉明(姫路)、中田司法書士(京都)、これらの人達に平成5年12月、着手金1億5,000万円を支払う。

 新明弁護士と劔持税理士が委任の終了に基づく法律構成と国税を担当し、石高社長は架空の建物を設計し、中田司法書士が水増しの不動産鑑定評価書を作成し、さらに石高社長と中田司法書士は、同じ手法で武富士の麹町物件や都留市のゴルフ場の鑑定評価も担当し、麹町物件は国土法で売買し、都留市のゴルフ場は会社売買という形で武富士に所有権を移転した。

3. 右翼関係者

第四、関連会社からの武富士への所有名義の移転

  1. 平成5年に上記第一物件から第三物件は武富士に移転され、武富士は上記関連会社に対し下記の金額を支払った。

     第一物件 約金785億円
     第二物件 約金432億円
     第三物件 約金90億円
     合計   約金1,307億円

  2. 武富士が支払った上記金額の相当部分は、その後、上記関連会社の金融機関等からの借入の返済、又はこの関連会社が借り入れていた他の関連会社の金融機関等からの借り入れの返済に当てられ、その分、武富士の保証債務は前述の様に減少した。

第五、脱税の事実 (武井会長は全てを知っていた)
 関連会社3社の第一ないし第三物件の取得価格合計が約金745億円であるのに対し、武富士が関連会社に支払った金額は、約1,307億円である。
 そして、武富士の上記不動産の所有名義の移転は、委任の終了(民法第646条第二項)を原因としている。
 そのため、売買を原因とする移転と比較すると、下記差異が生じる。

  1. 国土法所定の届出が不要である。
  2. 登記の際の登録免許税が半額(1000分の25)になる。
  3. 不動産取得税が不要である。

 最後に、本件の委任の終了は武富士の店頭公開に乗じて、武井会長の指示とは言え、関連会社の赤字を救済する為の脱税行為であることは、武井会長は勿論のこと平井部長や新明弁護士等もよく分かっており、私もその事実を両名から聞いて、委任の終了が武井会長の創業者利益の確保であることは十分に理解しておりましたが、現在に至っては当時私もサラリーマンとは言え、店頭公開した武富士に対する重大な背任行為であり、また一般株主に対しても誠に申し訳なく、しかも武井会長は未だ公私の区別がつかないばかりか、今日に至るも社員を利用してのインサイダー取引疑惑の噂もあり、またそれらの事実を知りながら加担して、虚偽の申請をした野村証券や大蔵官僚、政治家等は許し難いものがありますので、御庁におかれましては鋭意捜査され、厳正な処置をお願い申し上げます。

 現在の私は、武富士時代のこの脱税行為を実務担当して来たことに対し非常に反省すると共に罪悪感に悩まされ、告発する決心を致しましたが、私自身の行為についても厳正な処分をも覚悟している次第です。





武富士告発に関する関係資料1

新明総合法律事務所

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FAX.:03-3502-3843

平成6年9月22日

株式会社武富士
代表取締役会長 武井保雄 様

弁護士 新明一郎

受任業務内容と成果についてのご説明及びご請求に関して

1, 本件処理の基本方針

本件は、武富士が上場を間近に控え、武富士と関連会社との間の過去の繁雑な取引関係の法的整理と資産明細の整理を最大の目的とした、法律関係の整理、契約書、合意書及び意見書の作成という一大事業であると理解しております。
2, 本件処理の経緯
  1. 平成5年3月頃、会長より第一物件につき国土法の金額を坪当り4,000万円以上に出来ないかというお話しがあり、私共は早速検討調査致しましたが、京都市としては坪当り2,200万円程度しか認められない、国土法の届出をしても勧告を受けることになるであろうとのことでありました。私共は周辺地域の事例をも調べましたが、事実その程度の金額しか出ないという結論に達しました。
    そこで私共は、国土法評価額を非合法な手段で上げたところで、後に会長及び武富士に刑事責任が波及しかねないと考え、会長の要求を合法的に満足する他の適法な方法はないかと考えました。

    私共は過去に経験のあった委任の終了に伴う清算と所有権の移転という方法を思い付き、その方法が本件のような大きな金額の取引にも適用できないかを各関係官署及び専門家と討議し、法的に可能であるとの結論に達し会長に進言致しました。その場合に、委任の終了に伴う清算金額の妥当性を国税当局及びその他の関係官署に証明するために、清算対象物件の価格につき第三者不動産鑑定士の鑑定意見が必要となると考え、直ちに数社の鑑定事務所に掛け合いましたが、いずれも、鑑定士の資格を取り消される恐れがあるということで鑑定を拒否されました。私共は更に研究の上、アメリカ法のプロジェクトファイナンスの手法を取り入れ、土地そのものだけではなく、土地と法的に実行可能な建物を含む地域開発計画を知り合いの資格ある設計士に依頼し作成させ、その地域開発計画と収益予想表を不動産鑑定士に見せて説得し、会長の要求する金額の鑑定意見書を作成させることに成功致しました。この手法は第一物件から第五物件まで何れにも適用し、こうした裏付け資料により国税当局の説得にも成功したものと考えております。

  2. 私共はたまたま第一物件、第二物件、第三物件について武富士が徳武、共栄、公保、リブランドに委任をして各地上げを実行したこと、地上げ資金の調達を行なったこと、地上げした土地の維持、管理を行なってきたこと、地上げ交渉、契約の締結、資金の調達、支払い、地上げ物件の維持管理に武富士の社員が当ったことを熟知していたこともあり、その旨の物的、人的証拠を収集検討し、確定し、且つそのような場合の法律関係はどのように解釈すべきかを詳細に分析し、本件処理の具体的方針を決定するための基本意見書を作成しました。
    またその法律構成に基づき、委任の終了に伴う清算合意書を作成し、国土法の適用の可否に関し実務官庁と話し合い、方針を確定し、税務処理及び登記手続きにつき必要な第三者専門家(剣持事務所、中田司法書士事務所、鑑定事務所、設計事務所等)に武富士のために仕事の処理を依頼しました。上記の仕事の処理に当っては、税務処理の対象となる数字に関しては武富士の平井部長と綿密な打ち合わせを行ない、且つ契約書、関係資料を分析し、仕事の遂行に欠落のないように慎重細心に取り組みました。

  3. 本件の処理に当っては、会長の株式上場の意思を汲んで、関係当事者全員が阿吽の呼吸で理解協力し、十分に打ち合わせ、話し合いの上、全体の構成を事前に固めて実行したものであります。
    また、具体的な行為を実行する際には、私共の経験上最も安全確実な実務処理方法として、その都度関係者の討議と物件毎に清算の合意書及び歴史的な取引経緯書と法律意見書を作成し、提出し内々に或いは非公式に関係官署に事情を説明し事前了解を得て遂行致しました。

  4. 第一物件、第二物件、第三物件、第四物件、第五物件に関する対国税当局との交渉は100%剣持事務所が担当しました。当初から平井部長から武富士側の顧問税理士は国税に対し過去約10年に及び徳武を始めとする十数社につき、武富士と何ら関係の無い独立の会社として資産を所有している旨税務申告をし、且つ数回の税務調査の際にも税務当局に対しその旨の説明をしてきており、その記録も国税当局にあることから本件の処理には関与できないとのことでありました。
    また、平井部長及び顧問税理士から本件税務処理に関連して子会社の過去の税務処理の全てが否認されることになれば、武富士は巨額の損失を蒙り大変なことになるとの説明がありました。
    こうした事情もあり、平井部長は最初から本件は(1)剣持事務所のみが担当して欲しい、及び(2)武富士の顧問税理士は一切関与しないので、万一何らかの税務上の責任が発生する場合、剣持事務所及び当法律事務所の責任で対処して欲しいとの要請がありました。

  5. 本件の処理に当り、調査の前及び調査を通し国税当局に事情をご理解頂き、また何ら国税と一戦を交えることなく、或いはいざこざを起こすことなく良好なる関係でスムースに、しかも短期的に本件案件を解決した点は高く評価して頂いてよいと自負しております。

  6. 剣持事務所は徳武等が過去にその所有する不動産を国税当局に対し自己の資産として所有している旨の説明をしてきた点についても是正を行い、国税当局の了解を取得しました。
    その結果、武富士の顧問税理士及び平井部長が心配していた過去の矛盾した税務当局に対する説明を実態に合わせることにつき懲罰的課税を受けることなく武富士と関連会社との間が法的に明確となり、すっきりとした形にすることができました。

  7. 本件取引は平成5年7月に始まり、平成6年3月に第一〜第五物件の所有権、株券を武富士側へ移転完了し、平成6年3月〜6月の国税調査に対応して私共は事前に万全なる準備を行いました。
    そして平成6年6月24日(金)に国税当局担当者も会長室に会長を訪ね、「国税の調査も無事完了した」旨報告したと通知を受けております。この時点をもって本件の処理は私共が事前に予定した内容の通り全て完了したことになります。

3. 国税当局の調査項目

  1. 大きな物件を関連会社間で所有権移転をしているが、これは正当な処理か。

  2. 本案件以前に過去長期にわたり武富士は関連会社に資金調達をさせて関連会社に利益を与えるために利息を支払っている。これは武富士自身の取引ではなかったのか。武富士の関連会社に対する既払分の利息は寄付金として課税の必要はないか。

4. 案件の分担

  1. 前記第二(1)項の関連会社間の大きな物件(5物件)の取引に関する税務問題は全て剣持事務所が調査に立会い、国税当局への説明に当りました。

  2. 前記第二(2)項の武富士の関連会社への過去に支払済の利息に関する寄付金課税の問題は武富士の顧問税理士が担当しました。

5. 本件処理の成果

武富士並びに徳武等関連会社は、本件に関し土地重課税約19億円と所有権の移転登記の登録免許税約32億円の合計約51億円の支払のみで済ますことができました。
従いまして、下記の通り約540億円の節税に成功したことになります。

注1
売買の場合の土地重課税約50億円、登録免許税約67億円、不動産取得税約54億円及び印紙税600万円の合計約171億600万円が、委任という法律構成をとったことにより、土地重課税約19億円、免許登録税約32億の合計金51億円となり、売買に比較し約120億円の節税が可能となりました。

注2
 委任の清算として構成することにより、武富士から関連会社に支払った約1,400億円につき、推定国土法価額約700億円を超過する約700億円に課税されるはずであった寄付金課税額約420億円を節税することができました。

6. 本件の法律構成(委任契約)の選択のメリット

  1. 武富士と関連子会社との間の取引(1,400億円)を委任による清算と構成することにより、国土法による届出が不要となりました。第一、第二、第三物件の国土法価額約700億円を超過した約700億円について税率60%(延滞税を加えた税率)の寄付金課税の認定を回避でき、その結果、約420億円の節税が可能となりました。
    この法律構成により、委任の清算金として武富士から徳武、共栄、公保、リブランドに対し無税の約1,400億円を支払い、更に支払いと同時に武富士はその1,400億円を徳武、共栄、公保及びシブランドから借入し、今後も継続的に武富士からこれらの会社に適法に利子を支払うことが可能となりました。

  2. 委任の清算という法律構成以外の方法でも、関連会社の不動産の所有権を武富士に対し鑑定評価額1,400億円で移転させることは可能ですが、税額が高額(420億円)となるので事実上実行は不可能でありました。

  3. 剣持事務所は、武富士が委任の終了に基づく清算ということで処理しても国税は武富士から関連会社に対する支払いを売買と認定してくると思われるので、その場合にはそれに従いたいとの話でした。従うとすれば、土地に対する重課税を支払わなければなりませんが、剣持事務所が責任をもって税額を最小とするよう当局と交渉するのでまかせて欲しいということでありました。

  4. 国土法の適用の有無についても民法の規定する典型契約であることから、その要件を満足する限り国土法の適用はないということになります。そして、勿論本体は全ての条件を満足しておりました。

  5. 1,400億円の大きな物件の取引を委任契約の清算に伴う所有権の移転として処理したケースは初めてで、国税当局にこの取引方式を認めさせた点は大いに評価されるべきと思います。
7. 鑑定評価と国土法について
  1. 4物件につき本来不可能な鑑定評価額を出させることに成功しました。

     (a) 第一物件(高島屋隣)について
        500億円が精々のところを800億円にしました。

     (b) 第二物件(材木町)について
        350億円が精々のところを464億円にしました。

     (c) 第三物件(北白川)について
        20億円が精々のところを100億円にしました。

     (d) 第四物件(都留)について
        220億円が精々のところを350億円にしました。

        但し、第四物件については株式売買によります。

    注1
    上記(b)と(d)は剣持事務所の要請により、国税当局に納得してもらうため、二つの各独立した不動産鑑定事務所に鑑定をさせました。

    注2
    剣持事務所と不動産鑑定事務所の要請により、上記(c)の北白川物件についてはその開発計画書及び公道から武富士の物件に至る第三者所有の土地の道路使用承諾書を取得しました。

  2. 仮に委任の清算という法律構成をとっても実務官庁の国土法の解釈として受け入れられるかどうかという問題がありましたが、この点は私共で解決致しました。尚、実務官庁のご了解をいただいておりますので、後日問題となることはないと確信しております。

8. 報酬に関して

当初から、私共は失敗すれば武富士が私共に支払った着手金及び中間金等一切の支払金を返還する約束でありました。私共は勿論お引き受けする以上、完全にやり遂げる覚悟であり、上記の条件で異存はないという立場をとって参りました。従いまして、平成6年6月24日の税務調査が無事終了した時点で、本件は成功裏に完了したことになりますので、今後、成功報酬として最終金を請求させて頂いた次第です。
9. ご請求の件
上記にご説明しました通り、私共は、平成6年6月24日を以て、受任いたしました仕事の処理につき無事完了のご報告をさせていただくことができまして、大変嬉しく思います。つきましては、書簡をもって真に失礼とは存じますが、かねてよりご請求させていただき、平井部長とも何度かお打ち合わせさせていただきました本件の成功報酬最終金4億6,000万円につきまして会長のご決済を心からお願い申し上げるものであります。 失礼の段は幾重にもお詫び申し上げますが、諸般のご事情をお察しいただき、勝手なお願いとは重々存じつつ、平成6年9月末日位までに何卒よろしくご決済頂きたく、本書を以てお願い申し上げる次第です。

敬具





武富士告発に関する関係資料2

新明総合法律事務所

〒105 東京都港区西新橋1-6-21
大和銀行虎ノ門ビル7階
TEL.:03-3502-2561
FAX.:03-3502-3843

平成6年10月31日

株式会社武富士
代表取締役会長 武井保雄 様

弁護士 新明一郎

拝啓、貴社益々ご盛栄の段、お慶び申し上げます。

さて、平成6年6月30日付書面をもって、第1物件〜第4物件の委任業務(以下「本件プロジェクト」)の成功報酬を請求させていただきました(以下「本件請求」という)。その後、本件請求につき、経理担当平井取締役と数回の詳細な打ち合わせの後、何回かご連絡をさせていただき、平成6年10月6日に会長とお会いする機会を得ました。その折、会長から当事務所に対する報酬は支払済みで、成功報酬を支払う意思はないとのご意向を伺いましたが、別れ際に、会長自ら「後日時間を取るよ」と言われ、その言葉に期待をして参りました。

しかしながら、今もって、私共の再三再四の要請にも拘わらず、何のご返事もいただけないことから、当事務所の事件処理の諸費用として受領いたしました金1億4,000万円以上のお支払いはないものと判断し、既に受領いたしました上記1億4,000万円を以てご請求を打ち切らせていただくことにいたしました。
従いまして、本日以降、当事務所は本件請求に一切関係を持たないことになりますので、本書をもって確認させていただきます。

最後になりますが、本件プロジェクトの様に、約2年の長期にわたり、且つリスクの伴う難しい仕事は、会長のお人柄が心底から信用できない限り、私としても決して受任できない種類の仕事です。会長には、期待以上のメリットがあったと確信しております。それにも拘わらず、仕事の完成に伴う正当な報酬の請求につき、何らお話し合いをさせていただけず、ただただ電話で、あるいは御社に伺いお時間をいただけるかをひたすらお待ちしお願いするばかりの、物乞いのような立場に自分が置かれるようになるとは、正直のところ、会長のお人柄からは全く想像ができなかったところであります。本件請求につきご理解が得られなかったことは、残念ですが、仕方のないことと判断いたしました。 なお、今後も会長をはじめ御社が益々ご発展なさいますことを心よりお祈り申し上げます。

追伸:
グレートブレーン株式会社から不動産売買取引終了後相当の期間が経過し、税務上何ら問題のないことが明かとなりましたので、貴社と貴社の関連会社に対し、不動産仲介手数料の支払い請求をさせていただきたいとの要請がありましたので、添付の通り、請求書を同封いたします。

但し、この件につきましては、当事務所が請求するべきことではありませんので、グレートブレーン株式会社からの要請がありましても、当事務所は代理する意思はありません。従いまして、グレートブレーン株式会社は他の代理人を通して請求手続きをとると理解しておりますので、よろしくご了解くださいますようお願い申し上げます。





武富士告発に関する関係資料3

請求書

平成6年10月31日

株式会社武富士殿
株式会社徳武殿
株式会社共栄殿
株式会社リブランド殿
株式会社公保殿

兵庫県西宮市苦楽園6番地2番7号
グレートブレーン株式会社
代表取締役 石高嘉昭

拝啓、貴社益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。

当社も、貴社の株式の上場に向かっての一大事業である関連会社との間の法的整理と資産明細の整理にご協力できましたことを嬉しく思います。

当社は本書をもって第1物件〜第5物件の委任終了に伴う不動産の売買についての仲介手数料を下記の通り請求させていただきます。仲介手数料は本来ならば3%のところ一律2%に減額させていただきました。

尚、本件仲介は通常の仲介とは異なり、国土法の問題の解決、委任の終了による所有権移転の法律構成と必要書面の準備、不動産開発計画の企画及び図面の作成、鑑定評価を希望価格で出すための資料の作成と説得、所有権移転登記の協力、税務指導、国税庁による税務調査への立会い、要請がある場合、その他関係者との間の話し合い等、長期(約2年)に及ぶ業務を含むものでありますので、その点をご理解いただきたくお願い致します。

ご請求金額 金5,730,553,480円也
但し、不動産仲介手数料の下記明細の合計額

物件の表示 売買日時 売買価格(円) 買主(武富士)に対する
仲介手数料(円)
売主に対する
仲介手数料(円)
第1物件 H5.3.2463,891,980,0001,277,839,6001,277,839,600
(徳武)
  14,544,720,000290,894,400290,894,400
(共栄)
第2物件H5.3.2843,193,830,000863,876,600863,876,600
(徳武)
第3物件H5.11.158,933,307,020178,666,140178,666,140
(リブランド)
第4物件H5.11.158,400,000,000168,000,000168,000,000
(公保)
第5物件H5.11.294,300,000,00086,000,00086,000,000
(共栄)
以上合計 143,263,837,0202,865,276,7402,865,276,740

以上早急に下記銀行口座に送金いただきたく、よろしくお願いいたします。


     銀行名:池田銀行
     支店名:苦楽園支店
     口座名義人:グレートブレーン株式会社
     口座の種類:普通預金
     口座番号:2310290

敬具





武富士告発に関する関係資料4

平成6年10月31日

グレートブレーン株式会社 御中

劔持昭司税理士事務所
税理士 劔持昭司  

報告確認書

株式会社武富士と関連会社との間の下記の不動産の売買に取引についての税務指導及び調査立会をいたしましたので報告致します。

(不動産物件の表示)

売買日時 物件名 売買価額(円) 関連会社(売主)
H5.3.24第1物件63,891,980,000(株)徳武
H5.3.28第1物件14,544,720,000(株)共栄
H5.11.15第2物件43,193,830,000(株)徳武
H5.11.15第3物件8,933,307,020(株)リブランド
H5.11.15第4物件30,000,000(株)公保
((株)ロイヤルクレインカントリー倶楽部株式)
H5.11.15第4物件8,370,000,000(株)公保
(エヌティーワイレジャー観光開発(株)株式)
H5.11.20第5物件4,300,000,000(株)共栄
143,263,837,020

(税務指導及び税務調査への立会日時)

物件の表示 指導期間 立会及び交渉期間
第1物件 平成5年2月〜平成6年4月 平成6年4月26日〜平成6年6月21日午後3時
第2物件 同上 同上
第3物件 同上 同上
第4物件 同上 同上
第5物件 同上 同上

以上





武富士告発に関する関係資料5

平成6年10月31日

グレートブレーン株式会社 御中

手数料報酬請求に関する業務の委任

株式会社武富士と関連会社との間の委任の終了に伴う不動産の所有権移転、株式譲渡に関する税務指導、税務調査への立会につき、株式会社武富士及び関連会社に対する手数料報酬の請求の件を一任します。

以上

劔持昭司税理士事務所
税理士 劔持昭司