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(平成17年7月11日)
* 神戸で開かれたエイズ国際会議
日本政府の取り組みは真剣か?
第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議がこのほど神戸市で開かれた。 日本でこの種の国際会議が開かれるのは、1994年に横浜市で行なわれた国際エイズ会議以来である。
今回参加したのは、エイズの解明と治療を中心とする研究者をはじめ、政治、社会、経済的観点からこの間題にとりくんでいる人たち、それに感染者や支援者ら約2,700人に及んだ。
70以上の国から集まったこれらの人たちは、それぞれの立場から、エイズを撲滅するための方策について真剣に討議を重ねた。
アジア・太平洋地域でのエイズ感染者は、中国やインド等で急増、そのため昨年末には800万人を超えていると報告されている。
日本では、1990年代初めまでは、年間の感染者は僅か数十名だったものが、’90年代以降急激に増加している。 それ以後毎年増え続け、昨年度でついに厚生労働省が集計を初めて以来、年間の新たな感染者と発症患者数が1,000人を超える結果となった。
このエイズヘの対応策は単に医薬的な研究範囲にとどまらず、今や社会保健問題として、国際的政治マターとされている。 と言うのも、一般的なエイズ対策としての性行動に関する啓発、教育啓蒙活動、感染者に対する差別解消問題等が社会的課題として取り上げられて来ているからである。
これに呼応して、日本政府はさきに 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」 に5億ドルの緊急支援を表明している。 この基金は、開発途上国に対する治療医薬の配布を推進することを目的にしている。
“エイズ” といえば 「不治の病」 と思われ、いったん罹病すれば免疫機能がなくなり100%助からない恐ろしい病気、と信じ込んでいる人も多い。 確かにやっかいな疾患ではあるが、しかし、正しくは必ずしも100%の死亡率とは限らない。
[エィズ (後天性免疫不全症候群) acquired immuno-deficiency syndrome=AIDS] とは、次のような病気のことである。
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ヒト免疫不全ウイルス (HIV) によって起こる性感染症。
免疫を受け持つ細胞のリンパ球に感染し、免疫機能が低下する。
ウイルスに汚染された血液や血液製剤の投与のほか、HIV感染者との性行為などによっ
て感染する。
感染後の潜伏期間は数年で、下痢、発熱、食欲不振、体重減少、疲れ易さ等の症状で始
まり、さまざまな感染症や悪性腫瘍を引き起こす。 特に悪性腫瘍としてはカポジ肉腫瘍
が特徴。 発病者の50%が数年以内に死亡すると言われている。
近年は抗エイズ薬が多く開発され、治療効果は高まってきている。
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東アジア系のK記者は言う
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日本ではエイズと言うと、これまで薬害問題が大きく取り上げられてきました。 確かに血液製剤等による感染で罹病するという、不測の被害は大きな社会問題です。 厳しく問われなけれぱなりません。
しかし、そのいっぽう、性行為による感染を隠蔽したままでは、この問題は解決の糸口すら掴めないでしょう。 私の知識では、むしろこれらの感染の、重要でかつ大方の要因が、エイズに対する知識不足や野放図な性行動にあると考えます。 これらは決して見逃がせないことです。
アジア地域では未だ貧困にあえぐ人たちも多く存在します。 多くの国では売春は非合法ですが、性を売買する風俗店がそれでも法の隙間を抜けて実在し、さまざまな境遇の女性たちがそこで働かされています。
そして、その彼女たちには、エイズに関する知識や具体的な対策がどれだけ講じられているというのでしょう。 さきに、日本で、アジア地域からの少女の人身売買事件が発覚、関係者が警察に逮捕される事件が起きました。
これは “氷山の一角” だと思います。 東京の繁華街の一画、新宿近辺だけでもちょっと訪ねてみれば、その実態が解かるはずです。 エイズ問題はどうしても早急に解決しなければならない国際的社会の重要な優先課題なのです。
確か先月、日本の小泉首相が、エイズ対策基金に緊急支援金を拠出するという発表がなされました。 それに対して、今回の会議で国運合同エイズ計画 (UNAIDS) は、とても素晴らしいことだと高く評価しました。 が、同時に日本のエイズ対策については、つぎのように警告をしています。
『日本人のエイズに対する知識は、まだかなり不足しているように思う。 また、エイズ感染者が不当に差別され易い状況にも、もっと配慮をする余地があると考える。 日本のエイズに対する国際的な関心度の高さを、なぜもっと自国の国内に向けて発揮しないのだろうか。 このまま推移すれば、日本では今後とも急速にエイズ感染者が増えることが十分に予測される』
今度の会議でも、海外から参加者で、感染者が積極的に発言していたといわれるのにくらべて、日本の感染者たちの参画が少なかったのは、単に引き込み思案の性格ばかりとも言えないでしょう。
この会議では、感染者を支援する非営利組織の 『ぷれいす東京』 などが、行政と感染者やその支援者たちとの間の認識に、ズレの大きさにも問題がある、と指摘しています。
それにしても、約70ケ国からの参加者で、10年ぶりに日本で開かれたエイズの国際会議に、日本の厚生労働大臣など政府関係者が会場に姿を見せなかったようです。
これでは、日本のエイズに対する取り組みの真意が問われます。 “お金さえ払えばそれで事は済む” とも受け取られ兼ねません。 国内事情でプライオリテイー (優先順位) の高い出来事でもあったのでしょうが、その 『国際感覚』 にはちょっと疑問を感じます
」
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* たばこと肺ガン、因果不明の判決
国際的な認識と動向に逆行するのでは、との批判も
長年の喫煙が原因で、肺ガンになったなどとして、患者や遺族らがたばこ産業 (JT) と国に合計6、000万円の損害賠償と広告の差し止め等を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁がこのほど原告の請求を棄却した。
控訴審の判決理由は 「たばこの有害性は十分解明されておらず、依存性も弱い」 というものであった。
この訴訟は、1998年5月、肺ガンや肺気腫等のいわゆる “たばこ病” になった原因が、JTと十分な規制策を講じなかった国にその責任があるとして、6人 (うち歯科医師の荒木照夫さんら3人は死亡) の原告がそれぞれ一人当たり1,000万円の損害保障と煙草広告の禁止、それに警告表示の強化等を求めて東京地裁に提訴したものである。
東京地裁は一昨年の10月に判決を言い渡したが、それは 「たばこは嗜好品として定着している事情も考慮すれぱ、その製造販売は違法ではない。 また、アルコールや禁止薬物に比べると、その依存性は格段に低く、喫煙は個人の自由意志に基く」 として原缶の請求を棄却、原告側がそれを不服として控訴していたものである。
原告側は今回の高裁の判決に対して、ほぽ一審判決を踏襲したものに過ぎず、逆に 「たぱこの害はそれほど重大なものではない、といった印象すら与え兼ねないものだ」 と高裁の姿勢を強く批判している。
さらに今年の春には、日本も批准して国際的な 「たばこ規制枠組み条約」 が発効したばかり、という社会状勢も、今回の判決に良い影響を与えるのではないか、という一種の期待感もあった。
(この条約は2003年5月に世界保健機関 (WHO) の総会で採択され、ノルウエーや日本など57ケ国が批准しているものである。 有害で依存性のあるたばこの消費削減に積極的に取り組む事を前文に掲げており、たばこによる健康被害を防止するための、適切な規制と制限措置をとる事などを決めている)
これまでにもしぱしば 「たばこ後進国」 と非難されてきた日本が、いよいよ本格的にたばこ規制に踏み出す転換点になる、と期待されていた矢先の判決であった。 この国際的な規制条約にも逆行する、まさに時代後れの判決だ、というのが原告側の主張である。
アメリカ系のL記者は言う
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日本で売られているたばこの、包装紙に印刷されている警告文が、これまでの 『吸いすぎに注意しましょう』 から 『喫煙はあなたにとって肺ガンの原因の一つとなります』 などに、ようやく変わりました。
これで、経済先進国であっても “たばこ開発途上国” だった日本から“たばこ先進国” へと一歩前進です。 従来の表現では、言い換えれば 『吸い過ぎさえしなければ大丈夫』 という誤解を与え、その危険性を喫煙者に十分なメッセージとして伝えていなかったと思います。
ましてや 『今日も元気だ、たばこがうまい』 などという宣伝文句まで 時は言われていたようですが、何をかいわんや、です。 現在、世界保健機関 (WHO) が推定する “たばこ病” による死亡者は、年間490万人を数えています。
ですから禁煙運動は何もアメリカの専売特許だけでなく、すでに世界的にも同一の認識のもとに、活発な展開を見せているのです。 その一例を挙ぼますと、素晴らしい葉巻の生産で有名なキューバでも、映画館や病院、学校などの公共施設に加え、バスやタクシーなどの公共交通機関がすべて禁煙になっています。
ヨーロツパでは欧州連合委員会がたばこの害を訴えるために、加盟25ケ国で発売されている42種のたばこに、ガンに侵された肺や真っ黒になった歯などのカラー写真とともに 『喫煙で肺ガンになる』 『たばこを吸えば早死にする』 などの厳しい警告文を、包装の半分を占めて掲載しています。
北欧やイギリスなどもその例外ではありません。 多くの市民が集うレストラン、パブを含め、屋内の職場、公共施設での喫煙を全面的に禁止する法律が施行されています。
フランスでは一挙に30%ものたばこの値上げを行なって、販売量の2割も削減に成功していますし、イタリアもレストランやパブでの 『分煙』 を定めた禁煙法が施行されています。
それに、中央アジアのヒマラヤ山麓の空気のきれいな国、ブータンでは、国全体の禁煙実施に踏み切りました、世界でも初めての試みです。 昨年の暮れからたばこの販売が一切禁止されています。
旅行者などが外国から持ち込んだ場合は100%の税金を掛けられ、自分の部屋の中以外では絶対に吸うことはできません。 世界のたばこの害に関する認識は、こうした全面的有害説に傾いています。 この動向の中で、出された判決です。
判決の中では 『(喫煙者が肺ガンになる確立が高いからといって) 個人の疾病原因の判定をすることは本来的に出来ない』 と述べられています。
しかし、こうした判決をよそに、ようやく日本でも煙害の撲滅を目指して、国際的にも、国内的にも、たばこを取り巻く環境は日増しに厳しさを増し始めているように思います
」
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トーマス・J・ナーサム
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